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2012/01/12
冠動脈CTのすすめ−冠動脈疾患への新しいアプローチ−
心臓病センター榊原病院放射線科 津野田雅敏先生
2011/11/10
病診連携とフィルムレス診療におけるフリーソフト活用法〜MacintoshとOsiriX導入について〜
岡山大学病院放射線部 清哲朗先生
2011/09/08
MRIの安全性の考え方〜MRIオーダーするその前に〜
岡山画像診断センター画像技術部 穴見大吾

冠動脈CTのすすめ−冠動脈疾患への新しいアプローチ−

【 心臓病センター榊原病院放射線科 津野田雅敏先生 】
冠動脈CTは64列CTおよび次世代CTが普及してきたことにより、多くの施設で冠動脈を安定して正確に評価することができるようになり冠動脈疾患あるいはそれが疑われる患者の管理において重要な位置を占めるようになってきた。冠動脈CTの普及に伴い、その有効性や活用法に関するガイドラインがいくつか発表されている。代表的なものとして日本では2009年に日本循環器学会により発表された「冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン」があり、欧米では2010年に米国心臓病学会などによる心臓CTに関するACCFガイドラインが発表された。本講演では、これらのガイドラインに基づいて冠動脈CTの各病態における有効性や虚血性心疾患における冠動脈CTの現在の位置づけなどについて述べる予定です。

病診連携とフィルムレス診療におけるフリーソフト活用法〜MacintoshとOsiriX導入について〜

【 岡山大学病院放射線部 清哲朗先生 】
2008年の診療報酬改正で、デジタル画像保存加算が導入されて以後、病院の規模を問わず急速にフィルムレス化が進行している。モニタ診断は、従来のフィルムを使った画像診断と比べ閲覧に関する自由度の高さが大きな特徴であり、MDCTや高分解能MRI、PET-CT等の大量のデータを短時間に効率よく閲覧するには、もはや欠かせい手法である。ところが、小規模施設や個人レベルで本格的なモニタ診断の導入には高いコストが障害になってきた。さらに、現在では他施設に画像データを受け渡す際にCD/DVDなどのメディアを用いることが一般的となったが、閲覧アプリケーションの操作性の悪さ、受け取った画像データの再利用のしにくさが診療上の大きな制約となっている。加えて、管理状況のわからない他施設のメディアを自施設の端末で開くことは、ウイルス感染リスクの問題もはらんでいる。一般的なWindowsベースの商用PACSシステムでも、これらの問題にある程度対処は可能だが、高機能やきめ細かい対応を求めれば費用対効果比が悪くなるという問題を抱えている。
MacinoshOS X上でオープンソースソフトとして開発されたOsiriXは、無料でありながら高価な商用画像閲覧ワークステーションに匹敵する高度な閲覧環境を実現できるばかりでなく、データの入力、加工、DICOMタグ編集、保存、出力など、フィルムレス診療を行う上で必要となる高度かつ多彩な機能を搭載しており、これを既存の環境に導入することにより、セキュリティ対策にも優れたフィルムレス診療を低コストで実現できる。本講演では、OsiriX最新版の操作を実演しながら、診療に直接に役立てることが出来る3D表示、重ね合わせ表示などの多彩な閲覧方法や、メディアを介した画像データ入力、DICOM画像の加工、出力方法について紹介した。

MRIの安全性の考え方〜MRIオーダーするその前に〜

【 岡山画像診断センター画像技術部 穴見大吾 】
2001年7月。米国の病院でMRI装置への酸素ボンベ吸着事故が発生。術前検査のために鎮静下にあった当時6歳の男児の頭部に酸素ボンベが直撃し、残念ながら2日後にその男児は死亡した。MRI装置のもつ危険性を再認識させられた事故である。MRI検査を行う上で、安全性に影響を与える要素は4つ。静磁場による力学的作用、傾斜磁場による神経刺激および騒音、そして高周波(RF)による発熱である。静磁場による力学的作用は、前述の事故のような外的因子のみではなく、体内に埋め込まれたステントやクリップといった金属についても同様に作用する。実際に、ペースメーカーや脳動脈クリップが埋め込まれていたことによる死亡例も過去に報告されている。また、高周波による発熱についても、直接的な人体への影響のみならず、体内に埋め込まれている金属が原因での発熱も起こりうる。さらには、装置の高磁場化に伴い、これら4つの生体への影響はますます大きくなる。特に、高周波の与えるエネルギーについてはSAR(比吸収率)といった値で管理されているが、1.5Tから3.0Tに静磁場強度が2倍になれば、そのエネルギーは4倍になる。
生体への影響だけでなく、MRI装置自身がもつ危険性もある。クエンチと呼ばれる現象で、冷却のために使われている液体ヘリウムが気化するのである。その膨張率は700倍にも達する。クエンチが起きた場合、通常は排気ダクトを通じて外部へ放出されるが、排気が上手くいかず検査室内に漏れた場合には、ヘリウム自体には毒性はないものの、空気中の酸素濃度の低下により窒息の危険性が出てくる。故に、MRI検査室では常に酸素モニタで空気中酸素濃度を測定している。
今回の勉強会では、まずはMRI検査の裏にひそむ危険性について解説をさせていただいた。その上で、検査を実施する際に、実際にどういった金属に対して注意が必要なのか、どういった患者様に対して注意が必要なのかを踏まえながら、当センターにおける安全性への取り組みについて紹介させていただいた。今回の勉強会を機に、MRI検査の併せ持つ危険性について再考していただければ幸いである。

臨床画像から考えるMR信号理論〜なぜ造影剤なしで血管が写るのか〜

【 岡山画像診断センター画像技術部 松下利 】
CTの画像コントラストはX線が透過しやすいかどうかで決定される。X線が透過しやすい組織は黒く、透過しにくい組織は白く描出される。一方、MRIの画像コントラストは、頭部単純検査を例に挙げても、実に様々な画像コントラストを呈する。その理由は、MRIでは人体内のプロトン(水素原子核)の挙動を画像化していることに起因する。画像化の過程でプロトンは励起と緩和を繰り返すが、緩和の過程は2種類存在し、組織ごとに緩和の仕方もそれぞれ異なる。その緩和の違いが信号の強弱として捉えられることで画像コントラストとして反映される。そして、プロトンが示す2種類の緩和を各々画像に反映させたものが、T1強調画像およびT2強調画像と呼ばれる画像となる。また、MRIではプロトンをターゲットにしているために、組織に含まれるプロトンの絶対数がなによりもまず画像に反映される。そのため、靭帯や神経といった繊維組織や石灰化病変は常に低信号もしくは無信号となる。例として挙げるならば、石灰化した胆石はCTではX線を通しにくいために白く描出されるが、MRIではプロトンの数が少ないために無信号となる。しかしながら、プロトンの挙動を画像に反映するがために、血液中のプロトンから信号を収集することで造影剤を使わなくとも血管を描出することが可能となるのである。MRAで励起の方法を通常の撮影方法とは変えることで、静止した周辺組織と動く血流との間に信号強度差を作りだしているのである。
今回の勉強会ではまず、画像の成り立ちについて理解していただくために、画像化の過程における励起と緩和、基本画像であるT1強調画像とT2強調画像について簡単に述べさせていただいた。また、実際に我々が先生方に提供させていただいているMRCPやMRA、拡散強調画像などの画像についての解説、さらにはGd造影剤が高信号になる理由、投与量が多すぎると信号が低下する現象についても解説をさせていただいた。今回の勉強会を機に、MRIの画像について、多少なりとも興味を抱いていただければ幸いである。

膵の嚢胞性腫瘤の診断と管理〜そのIPMNはfollowで良いですか?

【 岡山済生会総合病院画像診断センター長 戸上泉先生 】
2009年の我が国の膵癌の死亡者数は男性は14094人で第5位、女性は12697人で第4位です。膵癌の早期発見は困難といわれていますが、近年、リスクファクターが次第に明らかになり、そのなかでもIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)はそれ自体悪性のポテンシャルがありますが、通常型膵管癌の合併頻度も高く、膵癌の前癌病変として注目されています。本講演では膵癌診療ガイドライン(2009年版)、IPMN/MCN国際診療ガイドラインに沿って、IPMNの診断と管理、膵嚢胞性病変の種類と鑑別点 について当院での症例を中心に述べる予定です。
また、当院で昨年より開始している地域連携支援システムによる診療情報の共有化プロジェクト:なでしこネットについてもご紹介する予定です。

左図:主膵管型IPMNのMRCP    右図:IPMNに合併した膵癌