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画像にでないめまい
ゆうえん医院 結縁先生
2013/07/11
膝外傷における画像診断
川崎医科大学・スポーツ外傷整形外科学 阿部信寛先生
2013/05/09
腎癌の凍結療法について〜IVRセンター開設のご案内とともに〜
岡山大学病院放射線科 郷原英夫先生
脳脊髄の記事

ルーチンクリニカル脳MRI〜読影に必要な基本的知識〜

【 岡山画像診断センター 井田健太郎先生 】
本講演は脳領域を専門としない医師を対象とし、スクリーニングなどルーチンで行われる脳MRIの各撮像法、また頻度の高い加齢性(生理的)変化について概説する。
当センターにおいてルーチンとして撮像しているT2WI、T1WI、T2*WI、拡散強調、FLAIR、MRAについて代表的な疾患を呈示し、各々の特徴と有用性を解説する。これらはいずれも欠かすことはできないが、特にFLAIRは病変検出能力が高く、拡散強調は急性期梗塞、T2*強調は出血など、ある程度の特異的診断に寄与し、有用性が高い。
また加齢性(生理的)変化については血管周囲腔拡張,無症候性大脳白質病変,微小出血,脳萎縮を取り上げ、各々背景や画像所見について解説する。血管周囲腔拡張、大脳白質病変、(陳旧性を含めた)ラクナ梗塞はMRIではできうる限り正確に区別されるべきである点を強調したい。また早期の認知症では難しいが、加齢性の脳萎縮は、認知症と関連する萎縮、その他特定の要因による萎縮と区別する必要があり、これらの特徴を解説する。
本講演の内容が、画像診断医と依頼科医間のこれらに対応する所見の基本的な解釈のすり合わせになれば幸いである。

認知症診療における画像診断の役割〜最新の知見も含めて〜

【 岡山画像診断センター 井田健太郎先生 】
現在、65歳以上の高齢者のほぼ12人に1人、約240万人が認知症であると推定されており、今後も右肩上がりに増加するのは確実な状況である。このような背景もあり認知症は‘がん’と同様にその予防や早期診断、治療や介護、社会環境の整備など、社会全体で取り組むべき大きな問題として認識されつつある。
認知症をもたらす疾患は多岐にわたる。それらのうち慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症といった治療可能な疾患を確実に診断し、早期に治療を開始するという観点から画像診断は認知症の診断プロセスに必須である。また特にMRI所見が認知症を惹起する稀な疾患を疑う契機になることも少なくない。
近年の飛躍的な研究成果から、アルツハイマー病の分子レベルおける発症機構は次第に明らかになり、治療に関してもコリンエステラーゼ阻害薬の登場により大きく進展した。この治療薬の効果を最大限に発揮するためには、より早期に治療を開始する必要があり、また将来的には根本的治療薬も登場すると期待されており早期診断の重要性がますます強調されている。以下の画像診断技術、すなわちβアミロイドを画像化するアミロイドPET、糖代謝を画像化するFDG-PET、脳血流を画像化するSPECTや軽微な脳萎縮を検出する高精度MRIを用いた脳容積測定法などが、この早期診断や病態の推移を評価する上で、重要かつ客観的なサロゲートマーカーとして大きな役割を担うと考えられている。
本講演ではアミロイドカスケード仮説に即して、これらの画像診断技術ついて概説し、その役割と今後の展開について述べる。

脳梗塞急性期について

【 岡山大学病院神経内科 出口健太郎先生 】
1965年をピークとして、脳卒中自体の発生数は一時的に減少したが、1990年より下げ止まっており、逆に高齢化社会の進行に伴って、脳梗塞患者数は年々増加を続けている。一般に脳の血流が22〜23ml/100g/分より低下すると、脳細胞は機能的障害に陥り始め、やがて時間経過とともに不可逆性の梗塞壊死に陥ってしまう。したがって、脳梗塞治療の基本戦略は、血流改善療法と脳保護療法の2点であり、前者においては、この10数年間に、血流改善療法としてオザグレルNaやアルガトロバン、さらには、梗塞発症3時間以内でのアルテプラーゼ(tPA)による血栓溶解療法が登場してきた。一方で、後者においても飛躍的な病態解明を受けて、脳卒中の臨床現場には新しい脳保護療法、すなわちフリーラジカルスカベンジャー・エダラボンが登場し、現在ではほとんどの脳梗塞患者で使用されている。
また、これらの治療は、できるだけ早く開始されることが重要であり、そのためには、短時間で正確に脳梗塞急性期の診断がなされることが求められ、これまで、CT、MRIなど、各種画像検査の進歩にも支えられてきた。
今回の勉強会では、脳梗塞急性期のアルテプラーゼ血栓溶解療法の実際、エダラボン治療の現状、今後認識しておいたほうがよい画像検査、脳梗塞と間違いやすい疾患・病態の検討について議論し、さらに今後求められる脳梗塞急性期の診断技術・治療法の展望を考えていきたい。