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臨床画像から考えるMR信号理論〜なぜ造影剤なしで血管が写るのか〜

【 岡山画像診断センター画像技術部 松下利 】
CTの画像コントラストはX線が透過しやすいかどうかで決定される。X線が透過しやすい組織は黒く、透過しにくい組織は白く描出される。一方、MRIの画像コントラストは、頭部単純検査を例に挙げても、実に様々な画像コントラストを呈する。その理由は、MRIでは人体内のプロトン(水素原子核)の挙動を画像化していることに起因する。画像化の過程でプロトンは励起と緩和を繰り返すが、緩和の過程は2種類存在し、組織ごとに緩和の仕方もそれぞれ異なる。その緩和の違いが信号の強弱として捉えられることで画像コントラストとして反映される。そして、プロトンが示す2種類の緩和を各々画像に反映させたものが、T1強調画像およびT2強調画像と呼ばれる画像となる。また、MRIではプロトンをターゲットにしているために、組織に含まれるプロトンの絶対数がなによりもまず画像に反映される。そのため、靭帯や神経といった繊維組織や石灰化病変は常に低信号もしくは無信号となる。例として挙げるならば、石灰化した胆石はCTではX線を通しにくいために白く描出されるが、MRIではプロトンの数が少ないために無信号となる。しかしながら、プロトンの挙動を画像に反映するがために、血液中のプロトンから信号を収集することで造影剤を使わなくとも血管を描出することが可能となるのである。MRAで励起の方法を通常の撮影方法とは変えることで、静止した周辺組織と動く血流との間に信号強度差を作りだしているのである。
今回の勉強会ではまず、画像の成り立ちについて理解していただくために、画像化の過程における励起と緩和、基本画像であるT1強調画像とT2強調画像について簡単に述べさせていただいた。また、実際に我々が先生方に提供させていただいているMRCPやMRA、拡散強調画像などの画像についての解説、さらにはGd造影剤が高信号になる理由、投与量が多すぎると信号が低下する現象についても解説をさせていただいた。今回の勉強会を機に、MRIの画像について、多少なりとも興味を抱いていただければ幸いである。