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放射線の健康影響について〜患者さんの疑問に答えるための基礎知識〜

【 岡山画像診断センター副院長 清哲朗先生 】
2011年3月福島原発事故発生後、国民の放射線の健康影響に対する関心と不安が高まっている。我が国は国民皆保険制度と広く行き渡った放射線診療装置のため、世界的に見ても医療被ばく大国とされているが、過去20年で国民1人当たり医療被ばくは1.5倍あまり増加したと推計されている。患者側の放射線被ばくに対する不安が高まった現在、医療従事者は医療被ばくのリスクを理解し、患者側の疑問にわかりやすく答える必要がある。放射線を考える上で必要となる単位(シーベルト、グレイ、ベクレル)の概略を説明した。また、放射線の人体に対する影響に関しては原爆被爆者の健康調査から導き出されたしきい値のある影響(確定的影響)、しきい値が無いとされる影響(確率的影響)について線量とその反応の関係について説明した。身近な放射線被ばくとして、自然放射線の現状と地域による多様性を紹介した。
 現在までに行われた高自然放射線地域の疫学研究の結果では,低線量被ばくの健康影響は低リスクに留まると考えられている。低線量被ばくの健康影響の説明に用いられる直線しきい値なしモデルは、防護の上で安全側に立って対策を講じるための概念であり、生物学的真実と証明されたわけではなく、人体においてその証拠を統計学上は明確に捉えることが出来ない程度の範囲である。リスクを定量的に理解するには、放射線以外の発がんリスクとの比較も有用である。画像診断に用いられる放射線は、比較的多いとされるCT検査でも10mSv前後程度と低線量被ばくに属し、過去の疫学研究で有意な健康影響が証明されないレベルに留まるため、医学的適応がはっきりしている場合であれば利益がリスクを明らかに上回る。ただし放射線感受性が成人の三倍程度に見積もられている若年者に対する医療被ばくやスクリーニング目的の検査には、十分な配慮がなされるべきである。