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2013/10/04
画像にでないめまい
ゆうえん医院 結縁先生
2013/07/11
膝外傷における画像診断
川崎医科大学・スポーツ外傷整形外科学 阿部信寛先生
2013/05/09
腎癌の凍結療法について〜IVRセンター開設のご案内とともに〜
岡山大学病院放射線科 郷原英夫先生

乳がんの罹患リスク

【 岡山大学病院乳腺・内分泌外科 平成人先生 】
【背景】
日本人女性の乳がん罹患率ならびに乳がん死亡率は一貫して増加傾向にあり,年間5万人超の女性が乳がんに罹患,乳がん死亡者数は約1万人/年である.過去,乳がん罹患リスクに関連する因子は多数報告されているものの,日本人女性におけるエビデンスは未だ少数であり,予防に関する啓蒙活動はほとんどなされていない。
【目的と方法】
日本人女性の乳がん罹患リスクを明らかにするため,岡山・香川の6施設にて症例対照研究を実施した.調査票によるライフスタイルに関する48項目の調査,マンモグラフィ濃度の解析,血液サンプルを回収しSNPsを解析した.
【結果】
調査期間は2010年12月-2011年11月,症例476名,対照528名から回答を得た.乳がん罹患リスクと有意な関連を認めた因子は,Body mass index,喫煙歴,肉類,緑黄色野菜,キノコ類の摂取,余暇の運動,出産数,授乳歴,学歴等であった.
【結論】
身体要因、生理・生殖因子については,海外の報告とほぼ同等の結果が得られた.食生活には文化による相違が大きいため,固有の食文化に着目した検討が必要であると考えられた.

慢性膵炎の診断と治療

【 川崎医科大学総合内科学2 河本博文先生 】
慢性膵炎の本態は炎症の持続によるによる膵の非可逆的な線維化と膵の実質の破壊である。臨床的には持続,反復する腹痛で始まり,やがて,進行すると、膵機能不全が出現し、膵外分泌不全としての消化吸収障害,膵内分泌不全としての糖尿病を来たす.慢性膵炎の成因は、大きくアルコール性と非アルコール性の2つに分けられていて、病態のメカニズムはよくわかっていないものの、完成した慢性膵炎では行き着く姿は成因にかかわらず同じである。また、慢性膵炎の診断はなかなか難しく、確定診断できるものは典型的画像や典型的組織像を伴うもので、すでに膵の機能不全をきたしている症例である。したがって早期診断を行うに足りる特別な所見というものはなく、反復する腹痛患者から、血液生化学や画像の所見をもとに組み合わせて診断していく。治療は、原因の除去と膵酵素の補充を主体に行っていくが、主膵管狭窄や膵石に伴う腹痛や仮性嚢胞では内視鏡的、あるは外科的治療が必要となる。特に内視鏡治療は低侵襲であるため外科的治療を行う前に一度は行ってみる治療と考えられる。最近の慢性膵炎に対する内科的治療一般について述べる予定です。

ルーチンクリニカル脳MRI〜読影に必要な基本的知識〜

【 岡山画像診断センター 井田健太郎先生 】
本講演は脳領域を専門としない医師を対象とし、スクリーニングなどルーチンで行われる脳MRIの各撮像法、また頻度の高い加齢性(生理的)変化について概説する。
当センターにおいてルーチンとして撮像しているT2WI、T1WI、T2*WI、拡散強調、FLAIR、MRAについて代表的な疾患を呈示し、各々の特徴と有用性を解説する。これらはいずれも欠かすことはできないが、特にFLAIRは病変検出能力が高く、拡散強調は急性期梗塞、T2*強調は出血など、ある程度の特異的診断に寄与し、有用性が高い。
また加齢性(生理的)変化については血管周囲腔拡張,無症候性大脳白質病変,微小出血,脳萎縮を取り上げ、各々背景や画像所見について解説する。血管周囲腔拡張、大脳白質病変、(陳旧性を含めた)ラクナ梗塞はMRIではできうる限り正確に区別されるべきである点を強調したい。また早期の認知症では難しいが、加齢性の脳萎縮は、認知症と関連する萎縮、その他特定の要因による萎縮と区別する必要があり、これらの特徴を解説する。
本講演の内容が、画像診断医と依頼科医間のこれらに対応する所見の基本的な解釈のすり合わせになれば幸いである。

冠動脈CTのすすめ−冠動脈疾患への新しいアプローチ−

【 心臓病センター榊原病院放射線科 津野田雅敏先生 】
冠動脈CTは64列CTおよび次世代CTが普及してきたことにより、多くの施設で冠動脈を安定して正確に評価することができるようになり冠動脈疾患あるいはそれが疑われる患者の管理において重要な位置を占めるようになってきた。冠動脈CTの普及に伴い、その有効性や活用法に関するガイドラインがいくつか発表されている。代表的なものとして日本では2009年に日本循環器学会により発表された「冠動脈病変の非侵襲的診断法に関するガイドライン」があり、欧米では2010年に米国心臓病学会などによる心臓CTに関するACCFガイドラインが発表された。本講演では、これらのガイドラインに基づいて冠動脈CTの各病態における有効性や虚血性心疾患における冠動脈CTの現在の位置づけなどについて述べる予定です。

病診連携とフィルムレス診療におけるフリーソフト活用法〜MacintoshとOsiriX導入について〜

【 岡山大学病院放射線部 清哲朗先生 】
2008年の診療報酬改正で、デジタル画像保存加算が導入されて以後、病院の規模を問わず急速にフィルムレス化が進行している。モニタ診断は、従来のフィルムを使った画像診断と比べ閲覧に関する自由度の高さが大きな特徴であり、MDCTや高分解能MRI、PET-CT等の大量のデータを短時間に効率よく閲覧するには、もはや欠かせい手法である。ところが、小規模施設や個人レベルで本格的なモニタ診断の導入には高いコストが障害になってきた。さらに、現在では他施設に画像データを受け渡す際にCD/DVDなどのメディアを用いることが一般的となったが、閲覧アプリケーションの操作性の悪さ、受け取った画像データの再利用のしにくさが診療上の大きな制約となっている。加えて、管理状況のわからない他施設のメディアを自施設の端末で開くことは、ウイルス感染リスクの問題もはらんでいる。一般的なWindowsベースの商用PACSシステムでも、これらの問題にある程度対処は可能だが、高機能やきめ細かい対応を求めれば費用対効果比が悪くなるという問題を抱えている。
MacinoshOS X上でオープンソースソフトとして開発されたOsiriXは、無料でありながら高価な商用画像閲覧ワークステーションに匹敵する高度な閲覧環境を実現できるばかりでなく、データの入力、加工、DICOMタグ編集、保存、出力など、フィルムレス診療を行う上で必要となる高度かつ多彩な機能を搭載しており、これを既存の環境に導入することにより、セキュリティ対策にも優れたフィルムレス診療を低コストで実現できる。本講演では、OsiriX最新版の操作を実演しながら、診療に直接に役立てることが出来る3D表示、重ね合わせ表示などの多彩な閲覧方法や、メディアを介した画像データ入力、DICOM画像の加工、出力方法について紹介した。