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2013/10/04
画像にでないめまい
ゆうえん医院 結縁先生
2013/07/11
膝外傷における画像診断
川崎医科大学・スポーツ外傷整形外科学 阿部信寛先生
2013/05/09
腎癌の凍結療法について〜IVRセンター開設のご案内とともに〜
岡山大学病院放射線科 郷原英夫先生

画像にでないめまい

【 ゆうえん医院 結縁先生 】
めまいを訴える疾患のうち、画像で確定診断が可能なものは脳血管障害、脳腫瘍、脳萎縮をともなう神経変性症などの一部に限られる。また現在脳血管障害はかなり早期より画像診断が可能となっているが、血管病変自体が緩徐に進行する小脳梗塞などもあり、経時的な神経学的所見の変化をみて画像検査を複数回おこなうことが必要になってくる。
内耳性めまいでも疾患頻度の多い良性発作性頭位めまい症は画像診断は不可能であり、現病歴のめまいの性状や眼振検査から診断するしかない。メニエール病については、まだMRIによる画像診断の手法は開発中である。造影剤ガドリニウムの鼓室内注入では内リンパ水腫はかなりはっきり描出されるが、鼓室内注入手技が簡単ではなく一部の施設でしかおこなわれていない。数年以内にMRIによる内リンパ水腫の撮像手技と診断基準は確立されるとおもえるが、現状ではまだ臨床的に確立されているとは言い難いの現状である。
今回は前半で、めまい診断の画像診断の適応と限界について解説し、後半で眼振検査でみられる異常眼球運動をビデオで供覧した。

膝外傷における画像診断

【 川崎医科大学・スポーツ外傷整形外科学 阿部信寛先生 】
膝関節は歩行や運動時に体重負荷がかかるだけでなく、安定を伴った屈曲・伸展、内反・外反、内旋・外旋の大きく複雑な動態をする。そのため、膝の外傷や損傷発生頻度は高く、膝蓋大腿関節を含め、前・後十字靭帯、内・外側側副靭帯の4つの靭帯と内・外側半月板、関節軟骨などの治療をすることになる。特徴的な軟部組織で構成されている関節の損傷形態を診断するためにはMRI検査は重要であり、またその治療方法を決定する上でも必須であると言える。我々はMRI診断に基づき、低侵襲の関節鏡手術を行っている。ここでは、膝関節損傷の実際と、その画像診断と治療法についてお話しします。

腎癌の凍結療法について〜IVRセンター開設のご案内とともに〜

【 岡山大学病院放射線科 郷原英夫先生 】
本年3月18日に岡山大学病院内の総合診療棟1階に新たにIVRセンターがオープンしました。放射線科はそのうち「がん・総合部門」を受け持っていますが、今回は近年導入された小径腎癌に対する凍結療法についてご紹介したいと思います。凍結療法の歴史は長いですが、深部の腫瘍に対する治療が行えるようになったのは最近です。当院では従来腎癌に対してラジオ波焼灼術を行っていましたが、一昨年7月に保険収載され、昨年4月に機器が導入されてからは全面的に移行しています。IVRセンターのご紹介とともに凍結治療の原理、初期経験などを画像なども交えてお話しします。



(図説:上図は、皮膚面から突出したニードルに霜がついています。下図は治療中のCTで、腎がんがアイスボール(黒い部分)により囲まれており、治療が成功している様子です。)

放射線の健康影響について〜患者さんの疑問に答えるための基礎知識〜

【 岡山画像診断センター副院長 清哲朗先生 】
2011年3月福島原発事故発生後、国民の放射線の健康影響に対する関心と不安が高まっている。我が国は国民皆保険制度と広く行き渡った放射線診療装置のため、世界的に見ても医療被ばく大国とされているが、過去20年で国民1人当たり医療被ばくは1.5倍あまり増加したと推計されている。患者側の放射線被ばくに対する不安が高まった現在、医療従事者は医療被ばくのリスクを理解し、患者側の疑問にわかりやすく答える必要がある。放射線を考える上で必要となる単位(シーベルト、グレイ、ベクレル)の概略を説明した。また、放射線の人体に対する影響に関しては原爆被爆者の健康調査から導き出されたしきい値のある影響(確定的影響)、しきい値が無いとされる影響(確率的影響)について線量とその反応の関係について説明した。身近な放射線被ばくとして、自然放射線の現状と地域による多様性を紹介した。
 現在までに行われた高自然放射線地域の疫学研究の結果では,低線量被ばくの健康影響は低リスクに留まると考えられている。低線量被ばくの健康影響の説明に用いられる直線しきい値なしモデルは、防護の上で安全側に立って対策を講じるための概念であり、生物学的真実と証明されたわけではなく、人体においてその証拠を統計学上は明確に捉えることが出来ない程度の範囲である。リスクを定量的に理解するには、放射線以外の発がんリスクとの比較も有用である。画像診断に用いられる放射線は、比較的多いとされるCT検査でも10mSv前後程度と低線量被ばくに属し、過去の疫学研究で有意な健康影響が証明されないレベルに留まるため、医学的適応がはっきりしている場合であれば利益がリスクを明らかに上回る。ただし放射線感受性が成人の三倍程度に見積もられている若年者に対する医療被ばくやスクリーニング目的の検査には、十分な配慮がなされるべきである。

消化器内科からみた大腸CT検査の現状とこれからの課題

【 川崎医科大学・消化管内科学 松本啓志先生 】
食の欧米化、運動不足などにより本邦の大腸癌(colorectal cancer;CRC)罹患率・死亡率は上昇しており、そのサーベイランスは重要な課題である。本邦におけるCRCの診断は大腸内視鏡検査がゴールドスタンダードであるが、海外ではMulti detector-row Computed Tomography (MDCT)用いた大腸CT検査(CT コロノグラフィー)の有用性も認められている。
 本邦でも最近、多施設共同研究による内視鏡検査との精度比較(Japan National CT colonography Trial: JANCT)の結果が報告され、さらには大腸CT検査が保険適応となり、ますます今後検査が普及する動きを見せている。しかしながら、まだ普及するには問題点も多い。
 そこで、本講演では現時点での本邦における大腸CT検査の現状とこれからについてお話させていただく予定です。